カンティレバーチェアの秘密

 

ワシリーチェアが椅子の材料革命だとすると、「カンティレバーチェア」は椅子の構造革命と言えます。それまで椅子といえば基本的に座面の支持を前後の4本の脚で支えるものでしたが、この椅子は片側だけで座面の支持を行う片持ち梁の構造になっています。その片持ち梁が「カンティレバー」と呼ばれていたことから、この椅子の名がつけられました。

 

このカンティレバーチェアには2通りあり、1つは、ドイツ生まれの建築家、ミース・ファン・デル・ローエによってデザインされた椅子(写真左)で、もう1つはマルト・スタムによるものです(写真右)。両者の違いは、ミース・ファン・デル・ローエがパイプをアーチ状に曲げ、マルト・スタムがパイプを90度に曲げた点です。