ヨーゼフ・アルバースの授業

 学生の基礎教育に取ってきわめて大きな意味をもったのは、ヨーゼフ・アルバースの予備課程でした。ワイマール時代のヨハネス・イッテンが退職した後、マイスター評議会は、この予備課程を1年に延長することを決定していました。工房での作業の準備をより良く行うために、手工業的・技術的基礎知識をある種の「実地教育」によって向上させるべきだと考えたのです。

 

 以前に国民学校の教師をしていたアルバースは、画家になるためにバウハウスに入学しました。彼はイッテンの予備課程を受けた後にガラス工房で経験を積んだが、この工房は委託がすくなかったために間もなく独立して維持することができなくなりました。

 

 1923年の秋にはアルバースは、第1学期生のための週18時間の授業を行っていたが、モホリの方は予備課程第2学期生を8時間教えていました。この当時アルバースの講座では、職人訪問や工場訪問がプログラムに組まれていました。機械を使わず、ごくありふれた単純極まる道具を用いて、生徒たちは容器やおもちゃ、小さな日用品を、最初は一つの素材から、後には素材を組み合わせて作ったのです。このようにして素材の根本的な性格や構造の原理を身につけていきました。

 

 

 アルバースは当然イッテンの予備課程の要素(素材研究など)を受け継いでいたが、それを全く新しく体系づけました。これは例えば素材研究の一つをとってもわかります。1927年以来学生たちは制作の際にどんな素材を使っても良いというわけではなくなり、きちんと定められた順序に従ってガラスと紙と金属を用いることになりました。つまり最初の月にはガラスだけ、2ヶ月目には紙だけ、さらに3ヶ月には自分で工夫して似た特性をもつ2つの素材を使うのです。4ヶ月目には、学生は自分で好きな素材を選ぶことができました。

 

 これについてアルバースはこう述べています。「素材は、くずが出ないように用いなければならない。経済が最高の原則なのだから。最終的な形態は、切断され、折り曲げられた素材の緊張から生まれるのである。」このようにアルバースの授業の主要目的は素材の創造性、経済的な扱いでした。